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□愛してる
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腰と背中に感じる熱に妙に安心と心地よさを覚えて、同じように腕を回して身体を密着させる。
聞こえる規則正しい音と感じる鼓動にふ、と笑った。
初夏の夜に吹く風はまだ肌寒く感じるが、森田の身体は火傷しそうなくらい熱くて、二つ合わさるとちょうどいい。
厚い胸につけた額を押しつけてると、森田が吐息のようにほしと呟いた。

「やっぱり星見えないですね」

ほしほしほし、あぁ星か。

「見たいのか」

「こんなとき星空だったらロマンチックじゃないですか」

「そうだな」

ロマンチックなんていう森田がいとおしい。同意をするとそれに、と続けた。

「星に照らされる銀さん、綺麗だろうなぁ」

男二人抱き合うことにロマンチックを求めることがおかしいのかもしれないが、今は人工の光が全部星だったらいいのに、と思わずにはいられなかった。
森田の想いが嬉しい、それと同等に、星に照らされ凛と輝く森田を見てみたいくて。

「銀さん、キスしてくれませんか?」

甘く低い声に背中がわなないた。
額を離して上を向く。俺を見つめる視線とかちあう。
深く黒い目は俺だけを見て、俺だけを映して、俺だけのものだ。
背中に回していた手で森田の頬を撫でると、森田は目を閉じて手に頬をすりつけてきたから、ごく自然に薄く開いたくちびるに自分のそれを重ねた。
森田と初めてキスするわけじゃないし、ましてや恋したてのガキじゃない。これくらいさらりと流して当然と頭では思っているのに、心臓が痛いくらい動き回る。
以前にもキスをねだられてしたことがある。その時の森田は顔を赤くして、本当にしてくれるなんて思わなかったと言っていた。
ばかな話だ。俺が森田の願いを反古にするはずがない。
時折森田は不安がる。俺が森田にあわせているんじゃないかと、そんなことあるわけないのに。
俺はお前に心底惚れてるんだから。

くちびるが離れ視線が交わったとき、銀二はとびきり甘い声ととろけるような表情で森田に告げた。




End


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