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□アカギの闘牌・博徒の心配
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アカギの闘牌は確かに凄いと思う。
自身の直感を信じて突き進める人間で度胸もある。
俺がギリギリだった17歩だって、アカギなら余裕で勝てただろう。
だけど…だけどな。
「だからって、なんで倍プッシュするんだよ!」
数時間前に俺とアカギは二人で雀荘にきた。
ただアカギがヤクザから遠慮なくむしるから、大敗したヤクザがキレて三千万の勝負を仕掛けてきた。
それでもアカギは勝ったけれど、倍プッシュと言い放つ。
わかってる。アカギがここで敗けることは無い。
アカギもそれを感じているのもわかってる。
だからわざと危険牌を捨てて、俺の反応を楽しんでいるんだろう。
「ちょ…アカギ!その牌は…!」
十三巡目。
アカギが捨て牌として手に取ったのはドラ牌。
確かにそれを切ったらテンパイだけど…振ったら意味ないだろ…!
しかも相手はリーチを掛けてるし、捨て牌からしてドラは本命。
「俺を信じなよ。カイジさん」
肩越しに俺に言って、迷いなくドラを切る。
反射的に目をつぶった俺の耳に、アカギのリーチ宣言が聞こえた。
「あー…ヒヤヒヤした…」
帰り道をアカギと歩きながら呟く。
手に大きなケースを持って。
あの後、アカギは見事にヤクザ相手に大勝した。
更に倍プッシュをしようとするのをなんとか止め、夕飯も買いながら今に至る。
「まだまだむしれたのに…。なんで止めたの?カイジさん」
不満そうに問い掛けてくるアカギに、溜め息を吐いて向き直る。