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□器用な男
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平山は猫が苦手だ。

猫が近寄れば過敏に反応して逃げる。
アレルギーが原因だったか幼い頃のトラウマが原因だったか。
そこのところをアカギはよく知らない。
というのも平山が説明している時に聞き流して、単に憶えていないだけだった。

そしてアカギと一緒に外を歩くことを非常に嫌がる。

類は友を呼ぶ。
猫のような気儘さを感じてか外を歩けば、猫がまるで取り巻きのようにアカギについてくるのだ。

猫にかなりの苦手意識を持つ平山にとってアカギと外を歩くのは、なにかの罰ゲームか、と思うほど嫌なことで。

居候という身分だからという建前と、口癖のように居候ならそれらしくしろ!と平山が繰り返すため、気分で買い物に付き合おうとしたらしたで、止めてくれと泣き付かれ。
結局一日外に出ない日も多い今日この頃。

一日三食出て寝床もある平山宅は生活する上で不自由はない。
けれど一日を家の中で過ごすのは些か暇である。

一度ふらりと雀荘に行って帰った時は、知らず知らずのうちにアカギの後ろに猫が行列を作り、仕事から帰ってきた平山が気絶したこともあった。


というわけで、興味本位で実験を兼ねた暇潰しを実行することを決めた。





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