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□愛情表現
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カイジさんと一緒に居ると俺が狂う。
自分のしたいように行動しているはずなのに、いつの間にかカイジさんが中心となっている。

それは俺が俺じゃなくなるような感覚がした。

無意識に自分自身よりカイジさんを優先してしまう思考や行動。
カイジさんが命を賭けたギャンブルをしていると、冷静さを失ってしまいそうに焦燥感。


俺が狂っていく…。

ならば元凶を断とう。
俺が俺であるために。




眠っているカイジさんの背後に膝を立てて座る。

いつも軍手や髪で隠れている両手と耳が晒されて、両方の傷がよく見える。

これを自分で、若しくは人に切られたとき。どんな辛さを味わったのか。
今は見えないが左手腕の焼印も、俺は生涯味わうことのない痛みと敗北感だろう。
身体的にも精神的にも。

何度も信用した人間に騙され、それでもこの人は人を疑うことをしない。

学習能力が無いと言えばそれで終わるけど、多分そんなんじゃない。

どんなに人に裏切られても騙されても、この人の根本は信用することで出来ている。
だから俺が居てもこんなに無防備で寝ていられる。





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