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□自由人
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「だから、暇なんだよ」


「知らん」


「あー…じゃあ森田貸してくれ」


「誰が貸すか!」


珍しいくらいの銀二の怒り具合に森田は苦笑して。
銀二は二人の時間を邪魔されたあげく中々帰らないことに怒りと不機嫌が増し、それが楽しい赤木はにやにやと笑い。

全くもって終わりの見えない言い合いに、どうしたものかと森田が首を捻ったとき。
またもやチャイムが鳴る。


銀二は気付かないのか反応もしないため、森田が再び玄関に向かう。

背中で言い合いを聞きながらドアを開けると、そこには傷だらけの男、天が居た。


「夜中に悪いね。赤木さん居る?」


森田越しにリビングを覗きながら天が問う。


「えぇ、居ますよ」


どうぞ。と、中に通すと天はまっすぐリビングに向かい、ソファーに座る赤木を見付けた。

まだ言い合いの最中の二人の間に入り、赤木の腕を掴む。


「やっと見付けた…。あんた一瞬目を離した隙にどっか行くから捜しましたよ」


「遅かったな天。じゃ帰るか」


今まで帰る気配が微塵もなかった赤木が自ら立ち上がり、玄関の方に歩いていく。


「また来るわ」


「二度と来るな!」


天と共に出ていったことを確認すると、疲れきった銀二が倒れるようにソファーに座る。


「ふぅ…。漸く帰ったな」


「そうですね」


その隣に座り肩を寄せる森田に寄り掛かり大きく息を吐く。


「早く寝るか」


「はい」


やっと訪れた二人きりの時間に銀二も森田も自然と笑顔を浮かべた。





「くくく…」


「随分機嫌いいですね」


帰り道。
銀二宅から出ても上機嫌な赤木に、横を歩く天が話し掛ける。


「あぁ。銀二の反応が面白くてな」


満足気な赤木に天は少々呆れる。


「それは良かったですね。けど戻ったらひろがうるさいですよ?」


赤木が居なくなる前。
つまり銀二の家に行く前に天達は麻雀をしていたのだった。

気まぐれを起こした赤木が居なくなり、結局みんなで捜し回るはめになったのだが。


「まぁどうにかなるだろ」


そう言う赤木の笑顔に、今度こそなにも言えなくなる天だった。





End
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