〜青春徒然物語〜
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【美香視点】
『あ〜あ、トリップしたい!!』
『えと‥‥頭大丈夫?』
『え、連載開始第一声がそれ!?』
『メタ発言しない』
『へーイ』
『それで、いきなりどうしたの?』
『昨日テニプリ全巻読破したの!それで、やっぱトリップしたいなって思って!』
『全巻読破って…昨日学校も部活もあったよね?変な所で頑張るよね美香って』
『でしょでしょー!えへんっ』
『イヤ、褒めてない褒めてない』
葉樹ってばほんと辛辣!
いやあしかしテニプリの認識が「なんかよくわかんないけど超次元世界の格闘技」だった葉樹をよくもまあここまでテニプリ好きに引き込んだ。凄いぞ自分。偉いぞ自分!
『ていうかさ、明日からトリップするじゃん』
『狽ヲ!?葉樹トリップすんの?僕も連れてって!』
急に聞こえた驚きの台詞。
僕に内緒でいつのまにそんな能力身につけたの!?
『ん?美香も行くでしょ?トリップって“旅行”って意味の方だよ。明日から修学旅行』
『なぁ〜んだ、そっちか…。その冗談笑えない!』
『いや笑わせるつもりもないし冗談でもないから』
『ハア…トリップしたいぃーっ!』
溜息を吐けば、冷めた目で僕を見る葉樹。
夢持つ位自由じゃん!
『僕、修学旅行サボってテニプリの世界行ってくる』
『いってらっしゃい。もし行けたらあたしも連れてってね』
『当たり前だよ!』
葉樹抜きとか絶対嫌だよっ
だってほら、僕コミュ障だし!!
そんなことを思いながら、いつもの分かれ道で手を振って別れた。
この時の僕達は、本当に冗談のつもりで言っていた。
そりゃ、トリップ出来ないか、なんて何時も願っていることだ。
でも、心の奥底で、"無理だ"と言っている自分も確かに居て。
だから、夢にも思わなかったんだ。
まさかそれが現実に起こるなんて―――――
(誰かを思う気持ちは)
(鉄より強い、らしいよ)
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