爆発して目ぇ覚ませ!
□星空の下でラスト・ワルツ
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「行っちゃうんだ、ね」
満天の星空に、私の声が消えた。
午前中雨が降ったとは思えない綺麗な空である。
そんな夜に話しているのは――
別れ話。
(違うけど!)
「あぁ。わしゃ土佐を抜けて、江戸の方へのぼる」
「でも、脱藩は重罪でしょう」
彼がしようとしていること、それは脱藩。
土佐を離れ、物資支援している攘夷戦争中の志士に混ざるという。
親に話すと―当然だが―反対されたらしい。
「それでもぜよ。今だからこそ、わしは戦争というもんを経験せにゃあならん」
彼の目は未知の世界に向けて、輝いている。
「……そう」
愛想なさげに俯く。本当はこんなことがしたいんじゃない。面と向かって言いたいことが有るはずなのに。
そんなことを考えていたら、彼が私を抱き締めた。
「好いちゅうよ、今も昔もこれからも」
星空の下でラスト・ワルツ
優しく口づけをして、彼は去った。
(ぜったい会いにいってやるっ!)
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