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□Dear my Sun 大切な君へ
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――いつだったけ……
オレと天が初めて逢った日。
確かオレが幼稚園に入る前だったと思う。
魚屋の家を出ると、左手に大きな屋敷が見える。
一本道を挟んで…走れば10秒も掛からない。
幼いながらもこう思った。
『こんなに大きな家にはとっても可愛いお姫様が住んでいるんだ』って……
その屋敷を眺めていると……ホントに出て来たんだ――可愛いお姫様みたいな女の子が。
『あ!えーと……こんにちは!』
たまらなくてそう声を掛けたことを今でも覚えてる。
そしたらその子も
『こんにちは』
って、優しく返してくれた。
その後なんて言ったかはあまり覚えてないけど
オレの名前は蒼声陽司
家はすぐそこの魚屋なんだ
ってコトは伝えられた。
……それが天との初めての出会いだった。