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□4月1日。
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――4月1日
それは年に一度の嘘をついても許される(?)日。
これは帝煌学園の生徒たちが、まだ高校2年生になるちょっと前のお話。
***
「クラス発表っていつだっけ?」
『ああ、それか』
谷沢亮希が電話を掛けるのは――瀬咲空
空がまだ流星高校に転校する前の出来事。
『今日出てたぜ。俺見てきたから教えてやろうか?』
空は余裕たっぷり答える。
「マジで?知りたい知りたい!」
学校まで行く手間が省けると、亮希は早く教えろと空を急かす。
『あーそれがな……俺と氷斗と昴と晃と恵はA組なんだけどなぁ〜。亮希だけD組』
「俺だけD組か〜そうかそうか♪……ってエエエェェッ!!!!??なんで!?」
空から聞かされたモノは信じられない言葉。
「なんで俺だけみんなと違うクラスなんだよ!?」
『え、成績悪いから?』
「空だっていつも授業中寝てるじゃねぇか!」
『文句は操おじさ……理事長に言えよー』
「なんとかしてくれよ!」
『じゃあ氷斗にでも頼めよ』
「わかった!今すぐ氷斗様ん家行って来る!」
『おう、行ってら〜』
そして空との通話を終えた亮希は自転車を飛ばし、銀河町の煌邸へ向かった。
***
「……氷斗様ぁーー!!……って空ぁーー!?」
執事の柴平に案内され、氷斗の部屋へたどり着くと……そこには空の姿が。
「ん?よう亮希、早かったな」
「どうしたの?そんなに慌てて」
自室で優雅に寛ぐ氷斗。
春休みだからと言っても、外出が好きではない氷斗は自宅でのんびり過ごしています。
「そうだ!聞いてくれよ氷斗様!俺もみんなと同じクラスがいいんです!!」
「……?何のコト?」
真剣な亮希。
だがその氷斗の何も分かってない反応を愉しむ空。
「え、だってさっき空がクラス発表されたって…俺だけ違うクラスだって……」
氷斗が空に目をやると、必死で笑いを堪えている姿を確認出来た。
それで全てが分かったようだ。
「亮希……クラス発表は4月5日だよ。入学式の前の日だからね?」
「え?マジっスか?」
「マジだよ。空…亮希を騙したの?」
笑いを堪えていた空が観念して頷いた。
「悪ィな。今日はエイプリルフールだからさww」
ポカーン...
「騙されやすいんだよ!!バカじゃねぇもん!!」
そしてその一ヶ月後……
空は転校した。
以上。ちゃんちゃんv(。・ω・。)v