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□君は光、僕は影
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部屋の掃除をしていたら、白いハンカチが姿を見せた。
「あった」
当時小学1年生の天のハンカチ
血で汚れたそれを返すのも悪いと思って、後日彼女には別の新しいハンカチを届けた。
「もう痛くない?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
思えばその時から僕は彼女のことが『好き』だったのかもしれない。
………だけど、気付くのが遅かった。
好きだと気付いたあの日から
隣に居るのが僕だったなら…
彼女が僕を見てくれなかったのは、前世の約束があったから。
ねえ流れ星、どうしてこの時代のこの場所に僕らは生まれ変わったんだい?
運命の絆なんて、とてもロマンチックに聞こえるけど……
僕にはあって欲しくはなかったな――
それでも僕は君が好きだから
君が好きな彼も好きだから
だから僕は君たちを守りたい
白く舞い踊る桃色の花
この中にいつまでも居たいよ
君という光が在る限り
僕は君を支える闇となろう…
☆★☆