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□Stay here
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それからも、アイツらの様子は相変わらずおかしかった。
いつもなら、皆揃ってとるはずの昼飯も、




『星明、行こうぜ!!』

『え?皆さんはいいんですか?』

『いいからっ!』

と強引に星明の腕を引き、一度も振り返らなかった。






結局、2人を除いた他のメンツでの昼飯。


雪夜は普通の顔をしていたけど、空はどこかイラついているのか、いつも以上に黙っている事が多かった。











そうして理由の分からない気まずさを残したまま。

気付けば放課後。









「あれ、陽司は?」

「ん?陽司なら今廊下にいましたよ。今日は部活無いみたいですし、帰るつもりなんじゃないですかね」

「そっか、ありがとな」



鞄を肩に掛け、星明に礼を言って勢い良く教室を飛び出す。




何となく、自分がカヤの外なのが気に食わない。

そんな事を考えながら、長い長い廊下を走る。












そうして昇降口まで辿り着いた所で、げた箱の端から赤いツンツン頭が見えた。



「おい、陽」





「ウルサイって…言ってるんだよ!!!!!」







昇降口に響き渡る、陽司の叫び声。明らかに怒りが露わになった声だ。








「おい陽司!どうしたんだよ!!」



急いで駆け寄って陽司の肩を掴んで、見ると目の前には空と雪夜がいた。



「翔…」

「なぁ、お前ら今日どうしたんだよ?おかしいぜ?」

「……それは」




いつもニッコリと笑みを浮かべている雪夜が、今は目を逸らすように口ごもっている。




「何があったんだ………って、おいっ!!?」





パシッ、と肩に置いていた腕を振り払い、陽司が門を潜って外へ飛び出す。





「陽司ッ!!!」



「陽司待って!」」







空と雪夜の声にも振り向かないで、陽司は雨に打たれながら走り続けた。




「……って…アイツ傘壊れたんじゃ……;!…………ッ…、たくよッ!!」











気付けば、傘を片手に走り出していた。












何でアイツ……泣きそうな顔してんだよ!















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