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□絶対零度ノ世界-零レル涙-
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友達もたくさん出来たけど
やっぱり寂しいよ
ずっと好きだった子は
僕じゃなくて
僕の親友が好きだって
彼も彼女が好きだから…
二人には僕なんて必要ないんだ、って思ってたら
そんなことは無かった。
嬉しかった
僕は必要とされたい訳ではなく
ただ、愛して欲しかったんだと思う
僕は彼女に母の面影を求めていたんだと思う
「愛してるのに、愛せない」
それは愛されたい気持ちが強いから
夏休みが終わって学校が始まれば、一人で落ち込むことなんてないと思う。
どうして全部"夏"なんだろう?
母さんが死んだのも、僕が生まれたのも――
早く夏なんて終わってしまえ………!!
お母さんが亡くなってから
ずっと父さんには弟たちの面倒を見るように言われてきた
『おまえはお兄さんなんだから』
でもそう言われるのがすごく嫌だった
一つ下の弟・彰は…
素直に僕の言うことを聞いてくれたけど
三つ下の弟・昇は……
『どうしておかあさん死んじゃったの?……どうしておにいちゃんだけ生きてるの?おかあさんを返してよ!!!』
酷く心が痛かった。
どうしてそんなことを言われなければならないの?
僕がお母さんを殺した訳でもないのに………
母さん………逢いたいよ………
お母さん………
部屋から出ることもなく、一日が過ぎて行く。
異様に長い時間……
あまりにも針の進みが遅い時計に苛立ちを隠せなくて……
壁から外し――叩き付けた。
気に入らないカレンダーも
8月だけ破り捨てた。
窓もカーテンも全部締め切って
部屋の扉にも鍵を掛けて
全てを遮った
蒸し暑い熱気がじわじわと沸いてくる
冷房の温度を一番低くして……
僕の部屋だけを氷の空間に変える
「いっそ……本物の氷になれたらどんなに楽なんだろう――」
そうすれば夏の暑さですぐに溶けて…消えてしまう
そしてこの苦しみから解放されるだろう……
嗚呼……楽ニナリタイ
苦シミナンテ…イラナイ
タダ 愛サレタイダケ……
ドウシテ僕ハ愛シテモラエナイノ?
どうして………?
***