NOVEL 第一部[完結]
□熱き心を継いで
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“生きる”って何だ?
生きるために他人の食糧や金品、時には命を奪ってまで自分の生命を繋ぎ留めていた。
時には水賊を率いて村まるまる滅ぼしたこともあった。
――オレは何がしたいんだ?
荒んだ日々。
そんな腕に自信のあるオレを見込んで、とある男に雇われた。
なんでもその男を親の仇だとか言って戦を仕掛けてきた小僧を追っ払えだとか。
……面倒だがまあいいだろう。
その小僧には結構強い部下がついてるみたいだからよう、腕が鳴るぜ!
「父上……父上ッ!!」
雇われたからには仕事はこなさねぇとな。
敵軍の中の名将を討ち取った瞬間。
その倒れた男に駆け寄るガキがいた。十代半ばあたりの、まだ立派な将とも呼べない子供。
「貴様ァァァ……!!!」
溢れ出る涙を拭い、込み上げる怒りを抑え……父親を討ったオレを憎しみの眼差しで睨み付けてくる。
「ここは戦場だ。いつ誰が殺られたって分からない場所だ、それが理解出来ないヤツは帰れ!」
にしてもついてないガキだ。君主の敵討ちに付き合わされ、自分の親を失うことになるなんて想像もつかなかっただろうな。
まだガキのクセしてこんなトコに立たされてんのは同情するぜ。
いつ死んでもおかしくない戦場……。
雇い主は危うくなった戦場から離脱し、姿を消した。
オレは……
戦いに敗れた……
戦相手に捕縛され、オレはもう死ぬのか……と覚悟を決めたが……。
「私の部下になりませんか?」
「……オレが?」
ニヤけた顔の緊張感のカケラも感じない男。
服装からして軍師っぽいようなヤツだ。
そんなヤツがオレを部下に取り入れてどうしようってんだ?
「先程のあなたの戦い方を拝見させていただきましたが……まるであなたを見ていると昔の自分みたいで……」
なんだコイツ。
そしてオレは断る理由も特になかったから、今度はその男の下についた。
君主や仲間たちは思ったより歓迎してくれ……まあ一人を除いて……ここならオレも安心して過ごせるんだと、やっと見つけたオレの場所。
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