NOVEL 第一部[完結]


□築き上げた想い
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***



『人生って楽しいですか?』










よく人は言います。





人生楽して生きられれば一番だ、と。






楽したって良いことあるのでしょうか。




私はどちらかというと計画的に進めたいのですが。










――だけど人間の命はそんなに長くはない。







どんなに計画したとしても……命がそれについていかなければ意味がありませんから……。










「殿……、私は……もう死ぬのでしょうか」



病に掛かり、それ以来一向に回復する兆しが見られない私は、いつしか希望を捨てるまでに到っていた。



「何を申すか!そなたにはまだやり残したことがたくさんあるだろう!」




我が仕えるべき主は、私に生きろとお言いになられた。








ですが殿……手遅れです。








人間は死を間際に今までの経験、体験、思い出が一気に蘇るらしいのです。








思えば短い命でした……。


私はそれに満足出来たのでしょうか……。









希代の名軍師などと呼ばれ……常に軍を勝利へと導いて……。










***










私亡き後の戦いで、我が軍は宿敵の連合軍相手に大敗してしまったのです。




その時殿は、私さえ生きていれば敗北をすることなどなかったろう、とおっしゃっられたそうです。




もう一年長く世に留められてたなら……歴史は変わっていたのでしょうか。









流れ行く時は止まりも戻りもしない。






私たちの歴史を知る者は……もう誰ひとりとしていないでしょう。





***
 
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