NOVEL 第一部[完結]
□築き上げた想い
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『人生って楽しいですか?』
よく人は言います。
人生楽して生きられれば一番だ、と。
楽したって良いことあるのでしょうか。
私はどちらかというと計画的に進めたいのですが。
――だけど人間の命はそんなに長くはない。
どんなに計画したとしても……命がそれについていかなければ意味がありませんから……。
「殿……、私は……もう死ぬのでしょうか」
病に掛かり、それ以来一向に回復する兆しが見られない私は、いつしか希望を捨てるまでに到っていた。
「何を申すか!そなたにはまだやり残したことがたくさんあるだろう!」
我が仕えるべき主は、私に生きろとお言いになられた。
ですが殿……手遅れです。
人間は死を間際に今までの経験、体験、思い出が一気に蘇るらしいのです。
思えば短い命でした……。
私はそれに満足出来たのでしょうか……。
希代の名軍師などと呼ばれ……常に軍を勝利へと導いて……。
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私亡き後の戦いで、我が軍は宿敵の連合軍相手に大敗してしまったのです。
その時殿は、私さえ生きていれば敗北をすることなどなかったろう、とおっしゃっられたそうです。
もう一年長く世に留められてたなら……歴史は変わっていたのでしょうか。
流れ行く時は止まりも戻りもしない。
私たちの歴史を知る者は……もう誰ひとりとしていないでしょう。
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