NOVEL 第一部[完結]
□永久不変の永劫
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『…僕が気に入ったモノは全て手に入れる…』
昔からそうしてきた。
どんな手を使ってでも、欲しいモノは手に入れてきた。
……だから、今回も……
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「父上…何も弱将の軍にここまですることはなかったのでは?」
たかが一軍。
それに対し我が軍の精鋭部隊を仕向けるとは……父の考えが解らない。
敵の本陣は既に落ち、炎が幾つも上がっている。
「ふっ…ヤツはあれでも我が友だ。最期の晩餐は盛り上げねばつまらないであろう」
「いかに友だろうが…僕は圧倒的実力の差というのを見せ付けてやるのが好きだな」
僕が欲しいモノは絶対の力。
力さえあれば恐いものなど何もない、恐るるに足らず。
「やがてお前が私を超える日が来るだろう……その時を楽しみに待つとしよう」
何者でも超えることの許されない、偉大な父の背中を見つめ……少年は何を思ったのだろうか……。
「なあ……僕はいつ、父上以上の存在になれると思う?」
彼は振り向き、傍らの側近に語りかける。
「貴方様に不可能はございません。……そう遠くはない未来……既に天下は貴方様のモノになっていることでしょう」
黒煙を上げる廃屋を背後に…彼は天に煌めく星を見た。
「本当にそう思うか……それなら僕は……」
彼が言いかけたその瞬間……夜空を流星が翔けた。
「絶対なる力が欲しい……!」
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数年後……少年はついに偉大なる父を超えた。
「父上……もう貴方の時代は旧い。これからはこの僕に全権を握らせてほしい」
父は無言で頷いた。
自身を超えた息子に今更何を言うか。
彼は手に入れた
彼が求めた『絶対の力』
「これで新時代は僕のモノだ!!」
彼の傍らには微笑を浮かべたあの側近が居た。
そして彼の周りには忠誠を誓った五名の将軍たちが控えている。
彼が主導権を握った時代は……“永久凍度”
絶対不変の氷の力を持つ彼が他国の者たちを苦しめた時代が……そう呼ばれた。
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