NOVEL 第一部[完結]


□青空の下で
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『…さあ、一緒に来るんだ』


『いや…来ないで…来ないで!!』
















「…ッ!?」






目が覚めたそこは……いつもの部屋だった。






また…あの夢……






炎の海に巻かれた建物の中で、愛する人を奪われ引き裂かれた…あの夢…








「ここ…頻繁ね……」




やはり彼…瀬咲 空が現れてから、わたしたちの周りで何かが起ころうとしている。



「一体なんなのかしら……あッ!?」




時計は既に8時を過ぎていた。


ヤバッ!遅刻じゃない!?








急いで髪を結って着替えて下に降りると、桜崎が何食わぬ顔で掃除している姿を見つけた。


「お嬢様、おはようございます」

「ちょっと桜崎!何で起こしてくれなかったのよ!」

「はぁ…お嬢様、今日は日曜日ですよ。学校へ行かれるんですか?」

「え?」



……言われてみれば……




「あ……ご、ゴメン!……ははは」

「お嬢様が曜日をお間違えになるなんて珍しいですね。では朝食の用意をして参ります」







どうしたんだろうわたし……


でも早起きした分、ゆっくりと朝ごはんを食べることが出来た。


相変わらず父さんは仕事だから、いつも通り桜崎と二人っきりの食事。







父さんは海外貿易商。
多忙なのか、帰ってきてもすぐ出掛けてしまうために顔を会わせることが殆どない。


そんな仕事ばかりの父さんに嫌気がさしたのか、母さんは家を出て行って…もうすぐ10年になる…。たまに会えるけどね。


4年前から兄さんはドイツへ留学してるし……だからいつも家にはわたしと桜崎だけ。

でも寂しいなんて思ったことはない。
だって陽司と星明がいつも一緒だったし、雪夜たちも遊びに来てくれる。









だけど今日は……





***


――二日前。



『日曜?ああ〜ばあちゃんが温泉旅行当てたから、家族で行ってくるぜ』

と、陽司。


『日曜は姉さんの買い物に付き合わなくちゃいけないんです。』

と、星明。


『家の手伝いしなきゃいけないんだ。でも遊びに来てくれていいからね、天ならいつでも大歓迎だよ』

と、雪夜。


『なんだみんな用があんのか〜超チャンスじゃね?…って思ったんだがよぉ、俺は親戚んトコ行くんだよなぁ…悪ィな』

と、翔。


『ボクさ〜ボクさ〜!ドリームランド行くんだ〜♪お土産買ってくるからね!』

と、月慧。





***



「もうどーしてこーいう時に限って、皆用事があるのよ!!」


思わず勢い任せに机をドンドン叩いてしまった。





ガシャーン!!



「あああーーッ!!?」



それに驚いたのか、桜崎がお皿を落としてしまった。



「だっ、大丈夫!?」


「あ、ハイ!!…申し訳ございません……お嬢様のお皿を割ってしまいました……」

「別にいいわよ、気にしないで。ケガしてない?」

「お嬢様……」


桜崎の目が潤む…


「やっぱりお嬢様はお優しいですッ!!お嬢様にお仕えできて、私は幸せです!!」

「…そんな大袈裟な…」



桜崎は普段はキリッとして真面目そうなのに、時々天然入るのよね……。
まぁそこがイイトコなんだけど☆


 
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