NOVEL 第一部[完結]


□我が信念を貫かん
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遠い昔、誰かの為に命を賭けていた。




だけどその人を守ることが出来なかった、自分がいた。





だから僕はその人が残したモノを守って闘った。







それは遠い昔。










「どうしたんだよ雪夜。最近いっつもぼーっとしてんなぁ」


「ああ、翔。何か用?」




僕は流星高校二年生、譜堂雪夜。


こうして学校に通い、友達と楽しい毎日を過ごしている。





何もない退屈な日々は突然現れた彼によって変わっていった。







転校生・瀬咲 空







彼が来てからは身の回りに不思議なことが起き始めた。






それが誰かの為に戦う自分。









「なあ翔、最近変な夢を見るんだ」


そういうと、翔は「お前もか?」という顔で僕を見た。








僕たちのみる夢……それと転校生が関係あるのか?









もっと驚いたのは天や陽司、星明も似たような夢を見たんだとか……。



「にしても不思議だよなあ〜。みんな瀬咲が来てからなんてさ」


「全くだぜ。まあいい退屈凌ぎにはなるし、別に俺はどうだっていいケドよ」


陽司も翔も気にしないという風だし、月慧は面白がっている。




「星明はこのコトに関してどう思う?」



「うん……何か引っかかるモノを感じるよ。……でもだからって瀬咲君が関係しているかなんて分からないし…」


「そうか…」









こういう行動はまず僕が取るべきだろう。

どうも人任せというのは性に合わなくてね。





それ以前に無口の彼が話してくれるかが問題だけど。










翌日、学校に向かう道で瀬咲君とばったり出くわした。


「おはよう」


「……おはよ」




今日はいつも一緒の翔が「寝坊したぁー!!」と電話が来たから先に行ったんだけど……まさかこんなところで彼と出会うとは。





「君に聞きたいコトがあるんだけど……いいかな?」



話の内容にもよると言うような視線だけがこちらに向けられる。




「三国志、知ってる?」



すると彼は興味があるのか、どうやら話は聞いてくれそうだ。





「実は君が転校してきてから身の回りで不思議なコトが起きてさ」


「…不思議なコト?どんな」





赤信号により足が止まる。





「よく夢を見るんだ。僕だけじゃない、周りの皆もだ。…その夢の内容は三国志の物語に酷似してるんだ」


彼は何も言わずこちらを見る。




「僕の場合は……敵の大軍勢から主の息子を助け出す話。……それは蜀の名将・趙雲子龍が君主・劉備玄徳の子を助け出した話と似ている……ってね」


こんな話をして彼が信じるのもどうか分からないけど……。







「……お前も前世が……」





信号が青に変わる。





「……なんでもない」



と彼は言葉を止め、足を進めた。









……やはり彼は何か知っている。

まだまだ楽しめそうだ。










本当に僕らと“三国志”が関係しているのか……それは話が進んでからのお楽しみ。




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