NOVEL 第一部[完結]
□運命の星 流るる刻
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流星高校へ瀬咲 空が転入してから一週間が経った。
***
「なあ翔!放課後どっか寄らね?」
授業が終わったと同時に鞄を背負う陽司。
「そうだ!ゲーム屋行こうぜ!」
「ゲーム?なんか発売すんのか?」
「ん〜なんとなく」
「陽司、翔」
会話をする二人に雪夜が割って入る。
「今日は天の家に行くって言ってただろ」
「ああーそういえばそうだ!」
忘れてた〜と頭を掻く陽司。
「陽司は相変わらず忘れっぽいですからねぇ〜」
と、星明が苦笑する。
「べ、別にちょっと忘れてただけだっつーの!よし、行こうぜ天!」
「はいはい」
その日もいつもと変わらない一日だった。
昔から陽司、星明、雪夜、翔、月慧とは毎日のように遊んでいた。
わたしたちは幼なじみの大親友なんだから…。
周りの友達がみんな男の子だからって、わたしは気にしない。
……だけど……
ここまで一人の男の子が気になるのは初めてだった。
――――瀬咲 空――――
「…あ、瀬咲君」
「ん?何か用」
わたしの家に向かう途中、彼とばったり出会った。
「ねぇ瀬咲君って一人暮らしなんでしょ?どこに住んでるの?」
「…そこ」
そう言って彼が指差したのは、すぐ近くの高等マンションだった。
「じゃあ結構近くに住んでるんだなぁ!オレと星明ん家はそこの商店街なんだぜ」
「へぇ」
陽司が言っても彼はあまり興味を示さなかった。
「え!てか瀬咲、あそこってかなり高ェとこじゃねぇの?お前ん家、金持ちか!?」
翔の言うとおりそこは高級マンション。そんなところへ一人暮らしさせられるなんて相当なものよ?
……わたしも人のコトは言えないケドね……。
「…別に」
「カァ〜っ!にしてもクールなヤツだぜ!」
「陽司とは正反対だもんね〜♪」
「なんだと月慧!」
「あははは♪」
そんな会話をしている時、突然辺りの空気が凍り付くような気配を感じた。
「…この感じ…」
「どうした?天」
前にもどこかで……
ふと顔を上げると、目の前に瀬咲君が立っていた。
わたしに背を向け……緊迫した空気を漂わせている。
「瀬咲…君?」