小説

□ANNPANMAN
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僕が姿を消した後、世間は僕が逃げたと報道していた。冗談じゃない!僕は一度も負けていない。そして僕が姿を消したのも世間のせいだ。
・・・僕はムシャクシャしていた。
毎日を優勝賞金で暮らす日々。いつかは金が無くなる。もう時間の問題だ。

あの最後の防衛戦から2年が過ぎようとしていた・・。すっかり廃れて落ちこぼれた僕を助けてくれたのはジャム・コルス・グローリーというおじいさんだった。
僕は彼を知っていた。ジャムおじさんはボクシング協会の会長であり、僕がいなくなってからは彼も姿を消していた。
「・・・落ちこぼれたもんだな。アンパンマン。お前はこんなスラム街で酒ばっかり飲んだくれてるやつじゃ無かったはずだ。
お前がいなくなってからボクシングは終わった。生ぬるい。弱い。おこちゃまのケンカだ。・・・どうだ?もう一度俺と自分の拳をためさないか?」

僕の心の中であの・・・あの時の魂が再び燃え上がってきた。
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