□眠気
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珍しくレッドが熱をだした。
普段からあまり怪我や病気にかからないレッドにしては珍しい。
お見舞いにレッドの家に行くと、レッドの母親はしきりに感謝をした。

「ありがとうねグリーン君。きっとレッドも喜ぶわ。」

そう言って俺のためにお茶を出してくれる。
湯気のたつそれを一口すすると、何のお茶かはわからないがとても良い香りがした。

部屋を見渡す。
リビングはきれいに整頓してあって、掃除が行き届いていた。
壁には写真がいくつか飾ってあった。
写真に写っているレッドはどれも幼く、母親も若かった。
一番隅に飾られている写真の中に、若い男性が写っていて、ああこれがレッドの父親なのかなあとぼんやり考えた。

「古い写真ばかりでしょう。」
目の前に腰かけたレッドの母親は、苦笑しながらそう言った。
「あの子、旅に出てからあまり帰ってこないから…」

レッドがあまり家に帰らないのは前々から知っていたが、そのせいで母親がこんなに寂しそうな顔をするとは思わなかった。
何か話題をそらそうと言葉を探す。

「…レッド、いつから帰って来てたんですか?」

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