□誠実
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不意に、電話の呼び出し音が静寂を貫いた。


ピリリリ ピリリリ ピリリリ

「はい、グリーンです」
電話にでてみる。
相手は四天王のワタルだった。

「ワタルだ。もうニュースを見て知っているとは思うが…」
「レッドのことか」
ワタルかわ言い終わる前に口を挟む。

「ああ。悲しい事件だ。彼ほどの逸材を失うのはリーグ側としても痛い。」
なんだその言い方。まるでもう死んでるみたいじゃないか。

「それで、要件は?」
「簡単な事だ。今すぐリーグの方に来て欲しい。レッドと一番仲が良かった君に警察が色々と質問をしたいらしい。」
「……そうか。」
「辛いとは思うが、レッドのためだ。」
「ああ…」
ソファーに座っている幼なじみの後ろ姿を眺めながら言葉を探す。

「もし、レッドが帰って来なかったら、チャンピオンは誰になるんだ?」

沈黙が流れた。
受話器からはワタルの息づかいしか聞こえない。
ワタルは今、何を考えているのだろうか

「それは君がリーグに来てから決めよう。とりあえず今すぐ来い。」
「わかった」

電話越しにワタルがじゃあ、とか、また後で、とか言っているのが聞こえる。

「なあ」
俺の声にワタルが受話器を置く手を止めたのが伝わった。


「はっきり言えよ」

ワタルは何も答えない。

「俺のこと疑ってんだろ」

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