□眠気
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昨日よ、と母親は答えた。

「夜中に誰かがドアを叩く音がしたから、びっくりして開けてみたらレッドが立ってたのよ。しかも全身水びたしで入って来て、おでこを触ってみたら熱があったって訳。」
「何で水びたしだったんですか?」
レッドが水びたしなところを想像しようとしたが、なかなかできなかった。

「さあ…本人は湖に落ちたって言ってたけれど…」

レッドが湖に落ちるはずがない、と心の中で思ったが、何も言わずに相づちだけうった。

「レッドに会ってもいいですか?」
飲み終わったカップをテーブルに置きながら、立ち上がる。

「ええ、もちろんいいわよ。でもあの子今眠っているかもしれないわ。」
それでもいいですと答えると、俺はレッドの部屋へと階段を登った。
ドアの前で立ち止まり、一応ノックする。
コンコン

返事はない。
俺はドアを開けた。
ベッドに横になっているレッドが目にとまった。
近寄ると小さな寝息をたててレッドは眠っていた。
その横顔をただただ俺は眺めた。


部屋からは、当然ながらレッドの匂いがした。
少し甘いような、優しい匂い。

それはアロマとかの匂いじゃなくて、その証拠にレッドの眠っているベッドの辺りからその匂いは発せられていた。
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