小説部屋

□SHUFFLE-Savior in the dark-
第一夜・夢×絵本×黄金
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 稟はささやかな息抜き(?)を終えてすぐに教室に戻ってきていた。
なぜなら絶対に遅れてはならないからだ。




やがてチャイムが鳴り――

――ガラッ
?「よし、席に着け。
着かなかった奴はグラウンドを20周走らせるからな。」

 教室に入ってきた黒髪長髪でスタイルの良い女性が、平然と恐ろしい事を言ってのける
皆すぐに着席した辺り冗談では済まされないらしい…

麻弓「そういえばなっちゃん、転校生が来るとか聞いたんだけど?」

樹「俺様のセンサーに反応がある辺り、極上の美少女が2人だね。
それも超が付くほどの。」


?「……どこから仕入れた情報かは知らないが確かに女子が二人だ。
最も、編入してくるのは明日になるが。」


 担任の一言にクラス(の主に男子)から歓声が挙がる。
明日になれば美少女と思われる転校生が転入してくるので当然と言えば当然なのだが


?「そこで…だ、緑葉。分かってるな。」

樹「もちろんです、紅女史。二人とも必ず俺様が幸せにしますから。」
紅女史「お前は関わるなと言っている!!」

 いつものコントでホームルームが締め括られる



紅女史「あぁ冴島、ちょっと話がある。」
 ホームルームが解散され教室を出る時に紅女史に呼び止められた。

稟「珍しいですね。何の用です?」
平静を装い応える…が稟は面倒な事を押し付けられるのでは?
と密かに疑心に囚われていた。

紅女史「確かに珍しいがそう警戒するな。面倒を押し付ける気はない。」

稟「それで、用とは?」
紅女史「あぁ、そうだった。
冴島は昔…。他種族の女の子に会った事はあるか?」

稟「それは、ここは光葉町でバーベナ学園だから会うだけなら毎日会ってますけど…。」
紅女史「そうじゃなくて…。もっと昔の…だいたい8年前だ。」

稟「8年…。」
遡るに様々な過去が記憶として過ぎる。
そして1番鮮明に蘇るのは、薬品の臭いと病院のベッドに横たわり応えない両親と紅葉おばさん…。
稟(俺の地獄が始まってもう8年か…)

稟「やはり覚えてませんね…。8年前は子供ですし、何より他種族かどうかなんて考えもしませんでしたから。」

紅女史「そうか。まぁ、仕方ないな…。」
 考えを終まい込んで稟は応える。
頷く紅女史に基本にして最もな疑問をぶつけてみる事にした。



稟「そもそも俺の記憶に何の関係があるんです。」

紅女史「んー……。あったと言えばあったような…いや、だからどうしたというわけでもない……と思う。」
稟「紅女史にしては奥歯に物の詰まった言い方ですね。」
紅女史「…………いろいろとあったんだ。」

稟「…………。」
そのいろいろという内容を聞いたら後悔しそうだな…
紅女史「ともあれ私からはこれしか言えん。
これからもっと大変な事になるだろうが、気力と根性で生き抜け。最後まで諦めるんじゃないぞ!!」

 言うだけ言って紅女史は離れていった。

ザルバ「熱血教師ってのは端から見てると面白いな。」
稟「これ以上どう大変になるんだよ…」

心底疲れたというため息も廊下の喧騒に消えていった…
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