死神探偵

□第八件
2ページ/9ページ

 ―とはいってもなぁ・・・。

麗一は事務所に着いたが、やはり昨日の事があるのか、いざ事務所に着くと、肩が重くなった。

「かと言って、休むわけには行かないよな・・・」

そう呟き、麗一は階段に上る事にした。


 3階へ着くと、麗一が掃除した時よりも、
さらにきれいになっていた。

 ―誰がやったんだ・・・。
2階もここと同じようにきれいだったし・・・。

そう思っていると、いつの間にか、肩が軽くなっていた。

 ―いつも通りに行けば、いいんだな・・・。
いつも通りに・・・。

麗一はドアノブをしっかりと握り締め、
勢いよくドアを開けた。
が・・・

「おはようございま・・・」

カカッ

 ―えっ・・・?

何かが凄まじい勢いで麗一の隣を横切り、
壁に刺さった。

 ―何が起きたんだ・・・?

麗一は恐る恐る壁の方を見ると、
そこには、鈍く光る


2本の小刀が刺さっていた。

「あっ、麗一さん」

背後から、掃除用具を持った純がいた。

「よ、よう・・・」

「どうかしたのですか?」

「い、いや・・・」

平然といる純に対し、麗一は

 ―アレには何も触れないんだね・・・。

純の背後に刺さっている小刀を見ながら、
麗一は適当に相槌を打っていると・・・

「うるさいのう、ゆっくりと寝る事ができぬじゃろうが」

頭を掻きながら、白牙は麗一の肩口から顔を
見せる。

「白牙・・・」

「純、昨日中に書類まとめて置いたから、
あの会社に送ってくれ」

白牙はそう言いながら、
目を擦りながら、分厚い書類を純に渡す。

「はい、分かりました」

純は表情を変えることなく、書類を受け取る。

 ―すごいなぁ・・・。
あんなに分厚い書類をまとめるなんて・・・。

純が持つ書類の分厚さを見て、麗一は関心したようなまなざしで白牙を見ていると、

「暑い」

「はぁっ!?」

白牙が急に言い出したことが理解できないのか、麗一は目を丸くする。
すると、白牙は麗一の反応を見て何を思ったのか、少し苛立ち混じりの声で

「おぬしが近くにいるせいで暑いと言っているのじゃ」

「はぁっ!?」

 ―あんたが俺の近くに来たからだろ!?

白牙の言葉にゼロに対する苛立ちと似たようなものが心の中でこみ上げてくるのが分かった。

 ―死神って奴は、全員こんな奴ばかりなのか?

さっき、白牙を関心したことに後悔する麗一に対して、白牙は何かに気づいたのか、
彼のそばを離れ、壁の方へ向かう。
そして、壁に刺さっているものを見て、

「何じゃ、こんな所にあったのか」

と、平然そうに壁に刺さっている小刀を抜く。

「ここに訪ねた時に急に飛んできたんだよ」

麗一が皮肉そうに言うと、
白牙はニヤリと笑い、

「それでおぬしは殺されそうになったという事じゃな」

「うるさい」



こうして、麗一の新しい生活が始まるので
あった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ