死神探偵

□第三件
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「すげーボロい所だな・・・」

麗一はそう呟いた。
そう言われてもおかしくはないだろう。
建物の壁はペンキが剥がれ、所々レンガが
見えており、窓もひび割れ、
呪われているのではないかと思われる
場所だった。

「見た目で判断すれば、探偵として
務まらないぞ、麗。
どうにせよ、中は外よりマシだ」

 ―いつから、俺は探偵になった!?

 麗一がそう思っている間にゼロは
二階へ続く階段へと上っていた。

「早く来いよ、麗」

「あっ、わかった。今行く」

麗一も遅れまいと、後から階段へと
上っていった。


二階へ着くと、そこは荒れ放題だった。
鉢植えが倒され、窓が割れて、
ガラスの破片が飛び散っていた。
一つだけ部屋があったが、
ゼロは気にせず、また階段を上る。


三階に着くと、部屋のドアがあった。
ゼロはそのドアを開けた。
ガチャリと音をたて、ドアを開くと、
そこにはソファーがあり、
四人の男女が座っていた。

「これはこれは、よく来てくれましたね。
ゼロさん」

一人のぽっちゃりとした体つきの男性が
立ち上がり、二人を出迎えた。

「私、この事務所の持ち主の
今井と申します」

「関原麗一です。
よろしくお願いします」
麗一はお辞儀しながら、自己紹介をした。

「こちらこそ、よろしくお願いします。
それと、あちらの三人は、
左から後藤さん、松尾さん、久保田さん」

今井が紹介した三人はお辞儀をした。

「ところで、今井」

ゼロが今井の袖を掴み、こう言った。

「本当にここで起きた事件の謎を解けば、
タダでここを貰えるんだな?」

「はい、昨日と言ったように
勿論です」

今井は微笑みながら、そう答えた。

「今井さん、まずは二人に
座って貰いましょう。
それから、話しましょう」
久保田と呼ばれた女性は足を組みながら、
今井に言った。

「じゃあ、私はコーヒーを淹れてきます」
松尾と呼ばれた女性は立ち上がり、
キッチンへ向かった。

「・・・で、ここで起きた事件とは?」

「実は、一ヶ月前にうちの社長が


殺されたことなんですよ・・・」


「「!!」」
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