山本は目の前が恐ろしかった。
叫ぶ獄寺の声、部下達が連呼する声、どれも皆同じ――「10代目!10代目!」
耳が痛い。心が痛い。
肉が裂ける痛みだ、心という物が己の体内にあるのだとしたら、それはもう裂けている。
心は血を流し、その血は涙となって眼から流れ出る。あまりにも綺麗な血が、今にも頬を伝いそうだ。
ツナ!ツナ!
心の中で山本は叫んだ。
心の叫びが、獄寺の慟哭となってとどろく。
獄寺の銀色の髪の毛が、夕焼けの照り返しでオーラのように輝いた。ツナが宿した炎の色。獄寺が絶叫した。――その光と声に、山本は別れを悟った。
―――ツナ
--fin--