ごちゃまぜ

□痛みと苦しみ
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盛りの日々は終わり、風に吹かれて薄もも色のはなびらはゆらり、はらりと淀んだ川へ身を投げる。水銀のような水面に映った空を揺らした。葉の膨らんだ菜の花を辿れば白々しく浮いた太陽が眼に焼きつき、憎い。日没が近い。

まばたきを重ねるたびに飛び散る光の火花が鎮まれば、見えてきた鱗が干からびて死んだ数体の鯉が面白いと思った。痛点のない魚類にとって窒息死は苦しいものなんだろうか。


目深に押し付けられる帽子。多分。


「夕方の紫外線って侮れないんですよ」

「…曇りもだっけ?」

「おや、よくご存知で」


君が言ったんだよ。言葉にする必要もないだろうと幾つもの命の残骸が揺蕩うその隙間に捨てた。

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