捧げ物

□$ メジャートランキライザー
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悪臭放つ、黒く塗りつぶされた地面。

真っ青に澄み渡る空が気持ち悪い。


真白い肌。

それに跳ねる深い朱色がやけに映える。


いっそのこと、この身も朱色に、空も鉛色になってしまえば良いのに。





「帰るぞー。」





後ろから声が聞こえる。

振り返る。

誰だっけ。





「ひとの話聞いてるかてめー。」





人影が走り寄って来る。

紅い髪が、美しい。

少し銀色のムラがあるけれど。





「この耳は飾りか…って、大丈夫?お前。」





何が?

大丈夫って?

お前って、誰?





「ちょ、っとまて。本気で大丈夫か?俺の事、分かる?」





肩を掴み、目線を合わせてくる。

銀色が滴る紅髪と、蒼い空が目に入る。

嫌だ。

見たくない。

見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない


ツーっと頬に、何か伝った。





「っ…!」





紅髪の腕が、自分を包んだ。

震えてた。





「…高杉…っ…ごめ、ん…」





高杉…?





あァ、俺の名前じゃねェか。

目の前の男は…

なんだ、





「銀、時。」


「っ…うん…」





回された腕の力が強くなる。





思い出した。

俺に、おめェに、





「何やってる貴様ら。」


「公衆猥褻がか?」





ヅラに、辰馬。





「ち…げーよ…」




逃げる訳にはいかない戦い。

あの陽の思い出。


あァ全て思い出した。











紅い闇。
その中に唯一つ、銀色の道標。



思い出したく、無かったけれど。

「帰るぞ猥褻物共。」
「今夜は宴じゃき。」
「そっか。」

君がまだ立っているのなら
僕も隣で、闇色の道標。



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