あり得ないくらい
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「俺、風邪引いた事ないんだ!」

ひとりの男の子がそう言っていた。その男の子の名前は悠太。周りの子が、悠太に馬鹿は風邪引かないもんねーとからかっていた。

私は思う。

鈍感なのかな?と。





















あれから2ヶ月が経った。

席替えをしたから悠太の席は私の隣。でも、今日その悠太は顔色が悪く、でも微かに頬が赤い。
明らかに風邪、熱だろう。

「悠太風邪引いたんだね。学校休めば?」

言ったら悠太はこっちを見て、風邪なんて引いてないと言った。

でも、悠太の様子からして、今まで風邪引いたことがないことが自慢だったのに、風邪引いたと認めたくない…という訳ではなさそうだ。

もしかして…

「あんた風邪って何か知ってる?」

「お前!馬鹿にしてんのかよ」

どうやら知っているらしい。ちゃんと風邪はダルいとそのあと悠太が答えた。

私はさらに、ダルいって何?と問い掛けてみた。

そしたら…

「…アレだ、とにかくアレ!」

どうやら知らない様子。

(なるほどね…)

 
私は理解した。
悠太が風邪を引かない理由…。否、悠太は風邪を引くのだ。だが、馬鹿だからそれに気づかないだけ…


馬鹿は風邪引かない。

そんな謂れは嘘っぱち。なぜなら、風邪引いたのが馬鹿なら、風邪引いたことに気づかないだけ。

正真正銘の馬鹿。


…可哀想に。








































馬鹿は風邪引かない、






































真実はそうじゃない。









































馬鹿は…









































風邪に気づかないのだ。











あり得ないくらい <完>

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