◎
□多分、気にしない
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とある場所で、一組のカップルがラブラブしておりました。
それはもう、愛し合っていました。
ですが、そのカップルは10歳も年が離れている超『年の差』カップルなのでした。
女の名前は、彩花 (16)
男の名前は、貴裕 (26)
「貴裕!聞いた?!」
彩花が、急に大声で話すので、少し眉をしかめる。そして、先ほどの質問に対し、少しだけ心当たりのある貴裕は、答える。
「タイムマシーンのことか?」
言うと、彩花はそうそう!と元気に何回も頷く。その行動が子供っぽいと思う。まぁ16歳なんてまだまだ子供の範疇だが。
で。タイムマシーンがどうしたというのか。
タイムマシーンは2年前、国がようやく発明した過去や未来に飛ぶ道具である。だが、一般人はそれを使う機会がないので、無関係だ。
そんなこんなを考えていると、彩花が一枚の紙を取り出す。それを受け取り、大まかに目を通す。
――――――――――
急募!年の差カップル
自分の過去に行き年の差実感しませんか?
参加資格 年の差10歳以上のカップル
参加方法 現地にてタイムマシーンの使用
場 所 ××××××
時 間 番組放送時間内――――――――――
「マジか。テレビ企画?」
「そう!あたしたち出れるよ!早速応募」
半年後。
「とうとう、始まりました!年の差カップルの過去を覗こうというこの番組!参加者はこの方々です!」
司会者が、カーテンをめくると、彩花と貴裕が現れた。
緊張しながらも、軽く自己紹介をして、過去を変えないようにと注意をされたりした。
そして、ようやくタイムマシーン装置の中へ――――…
「貴裕〜。緊張するっ」
「俺も」
小さな声で、会話をし終わった直後、タイムマシーンが発動した。
二人をとても奇妙な感覚が襲った。空間が捻曲がるような…。最後に真っ白な光に包まれ、目を閉じた。
そして、目を開けると………
「どこだココ…」
今、二人がいる場所は、何もない寂れた空き地。
そこで、彩花はキョロキョロと辺りを見渡す。
「すごい!ここ、数年前に家が立っちゃった空き地だぁ。懐かしい」
って、ことは本当にここは過去。
「早くあたしたち探しに行こ!」
そう、今回の目的は過去の自分たちに会うこと。
確か、タイムマシーンの設定では、彩花が小学一年生の頃に戻った筈だ。
「あれじゃねぇの?」
「あれっぽい!」
ちょっぴり面影がある少女がランドセルを背負って、友達と帰路に着いていた。
身長なんて、今の彩花の腰…いや、もっと低いかもしれない。
よし、目的の半分は果たしたから、次は貴裕の過去の番。
だから、貴裕の家の近くで待ち伏せすることにした。
数時間すると、そこに人影が見えた。その人は、高校の制服を着ていた。
「って…、あんま考えなかったけど」
――――俺、高2?
全く持ってその通りでございます。
「うわー。貴裕の制服姿、始めて見た!」
よし、目的は果たしたから、とっとと未来へ帰ろう。
貴裕は、未来に帰る用のスイッチを押す。行きと同じように、不思議な感覚に見舞われた。
そして、目を開ければ番組会場。
「どうでしたか?」
司会者に聞かれて、二人同時に答えた。
“年の差を感じました”と。
番組収録後。
「でも、今がラブラブならいいもん。年の差なんて気にしなーい」
「でも、高2が小1に手ぇ出したら犯罪だよなぁ」
なんてことを話していた。
今も、少しは年の差を感じたけれと、過去を見るともっと年の差を感じることがわかった。
多分、気にしない <完>