多分、気にしない
1ページ/1ページ



とある場所で、一組のカップルがラブラブしておりました。

それはもう、愛し合っていました。

ですが、そのカップルは10歳も年が離れている超『年の差』カップルなのでした。

女の名前は、彩花 (16)
男の名前は、貴裕 (26)






































「貴裕!聞いた?!」

彩花が、急に大声で話すので、少し眉をしかめる。そして、先ほどの質問に対し、少しだけ心当たりのある貴裕は、答える。

「タイムマシーンのことか?」

言うと、彩花はそうそう!と元気に何回も頷く。その行動が子供っぽいと思う。まぁ16歳なんてまだまだ子供の範疇だが。

で。タイムマシーンがどうしたというのか。

タイムマシーンは2年前、国がようやく発明した過去や未来に飛ぶ道具である。だが、一般人はそれを使う機会がないので、無関係だ。

そんなこんなを考えていると、彩花が一枚の紙を取り出す。それを受け取り、大まかに目を通す。

――――――――――
急募!年の差カップル
自分の過去に行き年の差実感しませんか?

参加資格 年の差10歳以上のカップル
参加方法 現地にてタイムマシーンの使用
場  所 ××××××
時  間 番組放送時間内
――――――――――


「マジか。テレビ企画?」

「そう!あたしたち出れるよ!早速応募」































半年後。


「とうとう、始まりました!年の差カップルの過去を覗こうというこの番組!参加者はこの方々です!」

司会者が、カーテンをめくると、彩花と貴裕が現れた。

緊張しながらも、軽く自己紹介をして、過去を変えないようにと注意をされたりした。

そして、ようやくタイムマシーン装置の中へ――――…

「貴裕〜。緊張するっ」

「俺も」

小さな声で、会話をし終わった直後、タイムマシーンが発動した。

二人をとても奇妙な感覚が襲った。空間が捻曲がるような…。最後に真っ白な光に包まれ、目を閉じた。

そして、目を開けると………

「どこだココ…」

今、二人がいる場所は、何もない寂れた空き地。
そこで、彩花はキョロキョロと辺りを見渡す。

「すごい!ここ、数年前に家が立っちゃった空き地だぁ。懐かしい」

って、ことは本当にここは過去。

「早くあたしたち探しに行こ!」

そう、今回の目的は過去の自分たちに会うこと。

確か、タイムマシーンの設定では、彩花が小学一年生の頃に戻った筈だ。

「あれじゃねぇの?」

「あれっぽい!」

ちょっぴり面影がある少女がランドセルを背負って、友達と帰路に着いていた。

身長なんて、今の彩花の腰…いや、もっと低いかもしれない。

よし、目的の半分は果たしたから、次は貴裕の過去の番。

だから、貴裕の家の近くで待ち伏せすることにした。

数時間すると、そこに人影が見えた。その人は、高校の制服を着ていた。

「って…、あんま考えなかったけど」

――――俺、高2?

全く持ってその通りでございます。

「うわー。貴裕の制服姿、始めて見た!」

よし、目的は果たしたから、とっとと未来へ帰ろう。

貴裕は、未来に帰る用のスイッチを押す。行きと同じように、不思議な感覚に見舞われた。

そして、目を開ければ番組会場。

「どうでしたか?」

司会者に聞かれて、二人同時に答えた。

“年の差を感じました”と。







































番組収録後。

「でも、今がラブラブならいいもん。年の差なんて気にしなーい」

「でも、高2が小1に手ぇ出したら犯罪だよなぁ」


なんてことを話していた。

今も、少しは年の差を感じたけれと、過去を見るともっと年の差を感じることがわかった。








多分、気にしない <完>

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ