彼女の笑顔

序章  狂っていた世界
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家にいるのが辛かった。でも、学校にいるのも辛かった。

そして、私はまた身につけた。物事を楽観的に考えるということ。例え、それが無理矢理でも。

それからは学校に毎日、ちゃんと朝から行った。

それは、卒業式が迫ってきたから。やっぱり、練習なしで、いきなり本番というのはキツいと思ったから。

学校に毎日行くのは慣れてきた。

ただ、1番嫌なのは、友達からの束縛。

その友達の名前は香奈。
香奈は毎日が暇らしかった。だから毎日誘われた。遊ぼうって。
普通、遊びに誘われるのは嫌な気分ではないだろう。

ただし、香奈の場合は別だ。


1ヶ月に25回。


これがなにか、想像つくだろうか?
これは、香奈が決めた、絶対遊ばなくてはいけない回数。

わがまま娘には本当に困る。

事情がよくわからない人には、無視すればいいじゃんと言われるかもしれない。

勿論、挑戦したさ。


だけど…













――プルルルルルルルルル
プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…


鳴り続ける電話。

それに出てみると、香奈。

怒っている香奈を無視して電話を切る。

そしてまた、電話は鳴り続ける。

一時間近く、掛かりっぱなし。

そんなに暇なのか。

とうとう、香奈は家にまで押し掛けてきた。
しかも、親を伴って…

親も親だ。

なぜ、子供の喧嘩のようなものに首を出すのか、疑問だった。




私はそんなストレスにも耐え、ついに卒業を迎えた。






















卒業式が終わったら、入学式。

中学校に上がって、新しい友達も作れた。

だが、相変わらず、私の一歩引いた態度は変わらない。



なにがダメだったのか、先生の男女差別のせいか、私はとうとう不登校というものになった。

負けたのだ。















最初は休めてることが嬉しかった。

家には犬以外、誰もいない。
やりたいほうだい。

好き勝手に毎日を過ごした。
だが、それも飽きて、毎日が退屈な日々に変わった。

5ヶ月が経った頃。

音楽にハマった。
その音楽は、アニメの歌であったが、そこから深みにハマっていった。

歌を聞くことも、歌うことも大好きになった。

歌の歌詞を覚えることによって、漢字、国語系に強くなった。


そんなこんなで、あっという間に進級の時期になった。

先生にはアンタ留年だと言われた。とてもムカついた。だがそれをあははと笑って誤魔化す。

でも、私的には留年したかった。
だって、勉強面が気になるから。

小学生の時は、他人との成績の差が分かりにくくてそんなこと思わなかったけど、中学になってからは、その差が数字という最も分かりやすいものとなる。

もともと馬鹿な私は、もう一度、ちゃんと勉強して、2年に上がりたかった。

しかし、無事、進級した。

進級、したくなかったのに…








進級しても、私は学校に行かなかった。

一年が始まる最初に行かないと、後々、行けなくなるなんて思いもしなかったから。

学校に行きたくなっても、教室の位置も、下駄箱の場所も、自分の席も、時間割も分からない。何を持っていけばいいのかも…


私はだらだらと1年間を過ごした。


だが、やはり不安になる将来。

私は、たまに連絡をとっていた友達に協力してもらって、中3になる始業式に学校に行くことにした。

やっぱり、とても勇気がいる。

「ヤバい、すっごい緊張してきたんだけど!」

友達に言って見ると、その友達まで…

「なんか私まで緊張してきた…。なんでだろ?」

私は、その友達の言葉に勇気付けられた。

どこがって思うかもしれない。
だけど、緊張してるのは自分だけじゃないと知れたことに安心した。








学校に着いてからは、自分の居場所を作るのに必死だった。

また、自分が不登校にならないように…

最初の一週間くらいは居心地が悪かったけど、この性格のおかげでなんとかなった。

我ながら、本当に生きるのが上手いと思う。



なんとか、中学校卒業までありつき、高校へも行けた。






ここまでが、私…上谷美咲の冷めた傍観人生だった。



私は変わった。
高校で出逢えた人たちや、大好きな彼のお陰で…

















序章 -完-
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