愛造物語

第3章 穏やかな時の流れ
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アルメイニはサグンを見送ったあと、簡単な食事を作りった。そして、食べ終えて風呂に入り、ベッドに潜り込む。

「サグン…遅いなぁ」

ベッドに入ってからもう2時間が経とうとしていた。アルメイニは、落ちてくるまぶたを何とか持たせて、サグンの帰りを待っている。
だが、それも限界なようで、いつの間にか眠りに落ちていた。
































それからまた2時間。
玄関から扉を開ける音が聞こえてきた。だが、完全に深い眠りに入っているアルメイニはそれに気づかない。
家に入ってきた影は、明かりを灯すこともなく、まっすぐに、アルメイニが眠っている寝室へと足を向ける。

眠っているアルメイニを見つけると、そっと起こさないように近寄って、その流れる黒髪に指を通す。

「ただいまアルム。」

サグンは、アルメイニの無邪気な寝顔に癒されて微笑む。

それだけで、サグンはすぐに寝室を出ていった。そして、ダイニングのテーブルに目を向けると、そこには小さな紙が置いてあった。

―――――――――

サグンへ。
 

今日はあたしの好きなご飯を
作ったから温めて食べてね。
明日はサグンの大好物だから
楽しみにしてて!
―――――――――



その短いけど、愛情のこもった手紙を見て、サグンは微笑んだ。

そして、書いてあった通り、作り置きしてあったご飯を温めると、口に運んだ。

「ごちそうさまでした」

見事綺麗に完食したサグンは、寝ているアルメイニに感謝を述べたあと、食器を片付けて、アルメイニの寝ているベッドの隣のベッドに入り、眠りについた。

もちろん、隣にいるアルメイニにおやすみと言うのを忘れずに…












































太陽が顔を出し始め、小鳥のさえずりを合図にアルメイニは起き出す。
それが今日1日の始まりである。

アルメイニはベッドからでると、両手を頭上に持っていき、体を伸ばす。そうして、まだ眠くてぼうっとしている体を起こすのだ。

そして、無意識に隣のベッドに顔を向けると、まだサグンがすやすやと寝ていた。
アルメイニはサグンを起こさないように、部屋からそっと出ると、顔を洗うため洗面所に向かう。
そして、顔を洗ってから朝ごはんを作り始める。
今日は、ベーコンエッグにサラダとベーグル。一般的な朝食だ。
完成したら味見を忘れない。

「うん!おいしく出来た!」

ベーコンエッグが冷めないうちに、サグンを起こしに寝室へ向かう。

そこには、気持ち良さそうに眠っているサグンがいて、アルメイニはその寝顔を見つめて微笑んだ。

そして、ゆっくりとサグンの体を揺すり、覚醒を促す。

「サグーン。おはよー朝よ」

「ん。おはようアルム」

寝起きのいいサグンは、いつも通り起こしに来てくれたアルメイニに挨拶すると、起き上がって洗面所に向かっていった。

それを見送ったあと、アルメイニは先にテーブルの方へ向かう。

盛り付けを完璧にし、フォークを用意する。そして、冷たいミルクをカップに注ぎ終わった時、顔を洗い終わったサグンが現れ、ふたりで席につく。

「いただきます」

手を合わせて、アルメイニに感謝の意を込めて言う。
それを合図に、美味しそうに朝食を頬張るサグン。おいしいよというサグンの感想を聞いて、アルメイニは微笑むと、自分もいただきますと言って食べ始める。
アルメイニはいつも、サグンよりあとに食事に手をつける。なぜなら、サグンが自分の作った料理をおいしいと言って食べるのを見るのが好きだから。


アルメイニが料理を覚えたのは、拾ってくれたサグンに少しでも恩返しをするため。今ではすっかりアルメイニの趣味となってしまっているが。

もし、拾ってもらえなかったら一生、料理なんてしなかっただろうことを思って、アルメイニは幸せな気持ちになる。

―――――ありがとね、サグン



食事中は、今日1日の過ごし方について話す。

「今日は天気がいいからどこか出掛けようか。行きたい場所とかある?」

サグンに訊かれるが、アルメイニはこれと言って行きたい場所がなかったので、しばらく考え込んでいた。

サグンの微笑んだ顔が目に入る。

だが、やはり思い付かない。
でも、サグンと出掛けたい気持ちは充分過ぎるほどあるので、とりあえず景色が綺麗なところという意見を出す。

そしたら、サグンはより微笑みを濃くすると、わかったよと言う。

朝食を食べ終わってごちそうさまをすると、早速、出掛けの準備をする。

簡単なおにぎりをふたり分作り、鞄に入れる。





 
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