僕らが居る場所

□5章
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東の太陽が昇り、川の横の通りには犬を連れて散歩している人が多々居る。
川沿いの桜並木が風に煽られて揺れている。もう満開の時を過ぎ花びらは風の思うがままに踊らされる。
「ああああああ!ちちち遅刻しちゃうっっっ」
麟は…というと、昨日の帰りに自転車をパンクさせ、徒歩で学校に向かう。
徒歩20分で学校に着くはず。今朝はまた家主のてふに道を教えてもらった。
でも、もう間に合わない。既に8時20分を過ぎた。半迄には着かなければ。

「あ−っもう!寛人君たちも起こしてくれれば良かったのにぃ!」
言ってみて思い知らされる…昨日話掛けてみても、殆ど返事を返さない。
嫌われている…のか、と。
仕方なく走りだす。
「あっおいっ!お前っ!」
ふとどこからか声がした。
「ちょっと待てって!」
キィィっと音がする。
「諒君っ!?」
自転車を麟の横に止めるその姿は下宿生の諒だった。
「間に合わないだろ?乗れよ」
そういいながら背中辺りを指差す。
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