僕らが居る場所

□4章
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リビングは広かった。
フローリングの床。
隣のダイニング、キッチンに繋がっている。
リビングには青いソファーが置かれている。
「麟ちゃん、荷物はその辺に置いてソファーに座ってて!もうすぐ皆下りてくるわ」
そう、女の人に言われて麟は素直にソファーに腰掛けた。
ふかふかしてて気持ちの良いソファーだ。

しばらくすると、部屋の外からドタドタと足音が響いてきた。
これだけ大きな家なんだ。数人居るみたいだ。
…仲良く…なんて出来るだろうか?
「あら、寛人君〜コッチに来て〜!」
台所から飲み物を運んできたさっきの女性が首を逸らしながら呼んでいる。
「…あ−、来たの?」と寛人と呼ばれた子がリビングのドアを開いた。
「…あっ!」
「………………あ−…」
思わず麟の口がぽかんと開いた。相手も麟の顔をみて呟いた。

見覚えのある顔。「あ−」という口癖。物覚えの悪い麟でも覚えていた。
「ええええとっ!クラスの…野球部の…」
「転入生…か」
黒い短髪と少し垂れ気味の目。
「何だよ寛人、知り合いか?」
後ろから背の高い男も出てきた。
「久志君、ホラ、早く座ってよ」
女の人が促して、久志という名の長身の男と例のクラスメイトが麟の向かいのソファに腰をおろした。
そしてもう一人…
茶色くて麟程の長さの髪をして、鼻の頭に絆創膏を張りつけている。目付きの悪い男。
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