僕らが居る場所

□5章
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「はぁぁ!ギリっギリセエーフ!」
教室に入った麟は机に荷物を置くなり手を横に切った。
「あははっ!ハナヤギおはよ♪今の野球のジェスチャーでし?」
見ていた杉谷葵がセーフの真似をしながら笑った。
「ソレより!見たわよ〜」
急にひそひそと小声で話しだしたかと思うと、今度はニンマリと笑っている。麟が「何を?」と聞き返すや否や
「今朝!あの赤樫君と一緒に登校したんだって?」
周りの女の子も2、3人集まってきた。
「赤樫…?ああ!諒君か!…うん。遅刻しそうだったから後ろに乗せてもらっちゃって…………それが…何か?」
平然として答えた。でも…
「諒君っだってぇ!聞いた!?」
「いつのまにそんな仲になったのぉ?」
「何、何?どういう関係なのよ?」
周りの女子が口々にすき勝手な事を言っている。…これは…完全に冷やかされている…?

「え…えと、ぶ…部活が…
「同じトコに下宿してんだよ。ワリィか?」
諒が荷物を片手に麟の後ろの席に座った。
「俺、昨日休んでたから知らねえだろうけど、此処の席だから…」
いかにも空っぽの鞄に茶髪。目付きの悪さ、だらけた服装。
この人って…よく考えると……不良……?
それは少し苦手かも知れない。でも、今朝の事もあって、何かとやさしいし…
人は見かけにはよらないよね!と自分に言い聞かせた。
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