僕らが居る場所

□5章
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そして、時は坦々と進んでいく。

「あ、諒君!一緒に部活行こうよ!」
滅多に慣れない人には話し掛けない麟だが、勇気をだして誘ってみた。
「ああ…」とそっぽ向きながらも荷物を手に取ると、麟と同じペースで部室へ向かう。



「おっリンリー♪今日は諒も来たか!」
部室の前まで来ると、既にユニフォームを身に纏った花房が居た。

「…あれれ?…リンリー、どこで着替えるつもり?」
ハナの横に居た莢がくびを傾げる。

「……」
「……」
ハナと諒は何も言わない。
目を丸くして二人は互いを見合う。



「あ、別に一緒でも構いませんけど…?」
「一緒でも…って…」
「俺たちと…?」
「ハイっ!」
力強く返事を返した。
麟はあまり男女ということ自体を気にしていないらしい。

しかし、残りの部員達はそうはいかない。
男が着替える部室で女子が着替えるなど…
考えられない。
ありえない。
まず教員が許さない!



「ったくもぅ!頭くらい使いなさいよね」
どこからともなく聞こえてきた高い声に麟と2人は体をピクリと反応させてしまった。
「あ…レイカ!」
「ほらリンリー、向こうで着替えなよ。マネジ用!」
マネージャーたちは向こうの女子更衣室。
その手があったか!と言わんばかりに麟は駆け出していった。

「あ−あ、ハナ、同じ部屋で着替えられなくて残念ね〜」
「んなもん望んでねえよっ!」

レイカはにやりと白い歯をこぼして笑った。
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