僕らが居る場所

□5章
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麟の着ている服は前の高校で使っていたユニフォームだった。
まだ芦浦のユニフォームに触れたことはない。
「今日はユニフォームか」
その姿を見たタッちゃん異キャプテンの上杉 健。
白と赤のユニフォームの中にぽつんと黒い帽子が混じって、少し…浮いていた。
あまりいい気分では無い。

今日は会議とかで教員が来ていない。キャプテンや3年を中心とした活動が始まった。

4月の頭に行われた県大会で、芦浦は初戦敗退している。
あと3年生に残された時間は夏の大会までのわずか…
2、3年はノックシートを始める。そして1年は学校周りのランニングを指示された。
そして麟は…というと、莨屋から体力が無いとあっさりと言われ、1年とともに体力作りに専念するコトとなった。

「ううっ…何で私だけ…」
何周か回ったところでレイカに「女の子にしては悪くは無いのにね…」とは言われたのだが…

「情けないなぁ…私もノックしたいのに…」
少しペースを上げながらも頭のなかには文句のことばを並べていた。



「じゃ、あとよろしく!」
「お疲れっす!」

夕方。
部活を終えた3年は先に着替えを済ませてもう帰っていく。
片付けは1、2年の仕事である。
ネットを片付ける寛人と、整備をする麟。
その傍らで、諒が淡々と着替えをしていた。
「あれ涼君、片付けは…?」
「知るか」
早々と着替えを済ませてしまった諒は部室の前にあるベンチに座り込んで足を組み、堂々としている。
「無理だよ、諒に何言っても聞いてくれないよ」
そう横から口を挟んできたのは上杉弟の翔だった。


「片付け、済んだからリンリーも着替えておいでよ…できたら…早く…」
そう言われて麟は周りの連中が着替えだしていたのに気付く。
部室が狭くて、2年や3年はともかく、1年までは部室に入ることができず、外で着替えているのだ。
「わっわっ!着替えてきますっ」
顔色を変える事は無いにせよ、麟は自分の更衣室へと走っていった。
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