日本の都市・東京 ――― 下町の繁華街にある喫茶店リバーで男が二人、話をしていた。
「どうですか先生最近は」「うん、まあまあだよ」 「ここら辺でパッと何か欲しいですね」ウエイターが紅茶を二人分運んで来た。男二人の前のテーブルに紅茶がそれぞれ置かれた。男の一人は上着のボケットから煙草を取り出して安いライターで火をつけた。相手の男は紅茶を飲み始めた。煙草を吸っている男は黙っている。そして・・。 「ううっ」紅茶の男が急に苦しんだ。2秒程の出来事である。苦しんだ男は床に倒れて死亡した。煙草の男は紅茶の会計を済ませて喫茶店を出た。
救急車が通り過ぎて行った。男は駅で電車に乗った。


「政治的テロですかねデスク」新聞社報道部で男が話をしている。「とにかく殺されたんだよ怖い世の中だよ、ははは」(デスク)「勝間代議士殺さる――かァ」(記者)新聞の見出しはそうだった。



自由に暮らしたい、そう思いながら死んだかつての知り合いの無念さを晴らすため次の政治家を男は狙っていた。終戦直後の何もない状態いや政治家がこの世から完全に消えるまで男は殺すつもりだった。



(おわり)

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