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□不安な日
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一切の感情を見せずに私を見下ろすそれが、とてつもない脅威に思えた

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不安な日
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どうしよう
どうしよう
どうしよう

お母さんに言うべきだろうか
ダメダメ!!

どうしよう
どうしよう
どうしよう

いつも何が起こったって
ある程度は冷静でいられた、でも今度ばかりはさすがの弥子も不安を隠せない

覚悟を決めて
携帯のボタンを押す
泣きそうになりながら、呼び出し音を聞いていた

「もしもし」

良かった、出てくれた

「あの、笹塚さ…」

悪い弥子ちゃん、今手が離せなくて

「え…あの」

じゃあ、といって電話は切れた

「大事な話なのに…」

床に座り込み、高い天井を見上げる
少しだけ、冷静さが戻ってきた
弥子はゆっくりと立ち上がり、そして家の外に出かける
辿り着いた先
それ″は弥子を冷たく見下ろす
それは、弥子にとて大きな脅威であった
そっと手を伸ばし、引っ込める
周りをきょろきょろと見回し、また手を伸ばす
そうしてしばらく、弥子は怯えながら、その脅威と戦っていた

店員は、一瞬だけ顔を見て
すぐにそれを売ってくれた
やっぱりおかしいのかななんて考えると、不安で不安でまた居ても立ってもいられなくなる
店を出て、自然と足は笹塚さんのマンションに向かった
前にもらった合鍵で玄関のドアを開ける

不安で不安で

「笹塚さん」

早く帰ってきて
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