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□I Love You?
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言葉にしたら伝わらない事が、
実は沢山あるんだよ

I Love You?

「笹塚さん!」
それは不意に考えた事
「…ん?」
ソファに座って煙草を吹かす笹塚さんの横に腰掛けて、そっと顔を覗き込む。
煙草の煙が少し煙たい。
「私の事、好きですか?」
一瞬驚いたように見えたけど、すぐにいつもの無表情に戻る笹塚さん。煙草の煙を吐き出して、黙りこくってしまう。
これもいつも通り。
「もう!」
ちょっとだけ拗ねてやると思って横を向く。
笹塚さんは『好きだ』とか『愛してる』だとかって絶対に言わない。
それが単なる照れなのか、それとも何か理由があるのか全く分からなくて、勇気を出して聞いてみたのに、笹塚さんは涼しい顔をして煙草を吹かす。
「聞いてますか?」
「ん、聞いてるよ」
じゃあ何か言葉にして下さいよ…!

「愛してる」

真っすぐ瞳を見つめられて、少しどきりとする。

…でも…

「って言われて信じる?」

え?

笹塚さんが何を言っているのか分からなくて、首を傾げる。
どういう意味ですか?
笹塚さんは私の事、好きじゃないのかな?
そんな言葉が頭を巡って、少し泣きそうになる。
笹塚さんは煙草の火を消して、ため息を一つ。
「…」
黙りこくった私を見つめてゆっくりと話す。
「弥子ちゃんは、言葉がないと不安?」
「…そりゃあ、はい」
俯いて、小さく頷く。
「顔上げて、弥子ちゃん」
思いもよらない優しい声
優しい表情

「俺はね、」
好きとか愛してるとか、そういう言葉は
言葉にした瞬間意味を半分なくすって思うよ
薄っぺらになる…みたいな
なんか上手く言えないけどな

困ったように笑って、笹塚さんは私の頭をなでる。
「…難しいです」なんて言えば、まだ不安?と聞き返す。
そして私が頷くか頷かないかの所で、頬に唇を落とす。
「じゃあ言葉にする代わりに、態度で示そうか?」
にやりと笑って勝ち誇ったように私を見下ろすから、私は言葉が続かない。
優しいキスが降ってくる。今度は頬ではなくて唇に。
沢山のキスは、愛してるの印
言葉にしたら消えてしまうという
笹塚さんの気持ち
ああ、これなら分かります
つまり、好きでいてくれるんだ
言葉がなくても、
ちゃんと好きでいてくれてるんだ

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