Novel


□白蝦夷菊
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「市丸、今日はお前の誕生日だよな!?」


ボクがいつものように十番隊へ遊びに行くと、いきなり冬はそう言った。

今日は9月10日。
ボク、市丸ギンの誕生日やった。

まさか冬が覚えとるなんて、思っても見なかった。


ボクの場合、他人に関心が無いから他人の誕生日とかそういうのは覚えとらん事が多い。

けど、冬の場合、そんな行事をわざわざ祝う事自体に理解出来ないと言っていた。(とか言いながら、去年ボクとか乱菊が冬の誕生日を祝ってあげた時はそれなりに喜んでいたが。)


そんな冬が自分の誕生日を覚えとってくれたんや。

嬉しくない筈がない。

やからボクは冬に抱きついた。


「なんや冬、ちゃあんと覚えとってくれたん?ありがとなー。
で、もしかしてボクの誕生日、祝ってくれるん?」


ボクがそう言うと、冬は頬を真っ赤に染めて、


「だっ、誰がてめえの誕生日なんか……」


目をそらした。


ホンマかわええ。
そして相変わらず素直じゃない冬。

思わず抱き締める力を強める。


「痛いつっーの!バカッ。早く離れろ……んぅっ」


素直じゃない冬に素直になってほしくて、ボクは冬の唇に口付けた。
そのまま深い口付け。


唇を離すと、冬は翡翠の瞳を潤ませていた。息も荒く吐いていた。


「冬が素直やないから、勝手にプレゼントもらわしてもらいました」


ボクは笑いながらそう言った。
そんなボクを見て、冬も苦笑した。


「バッカじゃねえの?あーあ、もう知らねえ。せっかく俺、プレゼント用意してたのにな。もういらないんだよな?」

「ええ!?そうなん!?ごめんな、冬。せやから、冬のプレゼント、ちょうだい?」


首を傾げながら言ってみる。
ホンマはこういうのはボクやのおて冬がやったらかわええんやろうけど。



「じゃあ、今夜、俺の自室に来て?」


冬からのお誘い。
断るなんて、アホや思うた。


「もちろんや!ありがとな、てか冬ホンマかわええ───!」


「どわぁぁぁ!何すんだッ、馬鹿野郎!」


ボクは冬を押し倒した。


見つめ合う形になった。
冬は相変わらず頬が紅い。
赤い頬に軽く口付けて、そっと抱き締めた。
冬もボクの首に腕を回した。


「誕生日おめでとう、ギン」

「ありがとう、冬」




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