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□白ねこのだんなE□
白猫を拾って一月過ぎた。山崎が名前を呼ぶと姿を現し、餌付けにも警戒がなくなった。
縁側にしゃがみ込んだ沖田は、頬杖をつく。
「こうしてるだけじゃ、何も起きねぇな」
薄い舌で小皿を舐めている。山崎は「そうですねえ」と頷いた。
幕府上部の実験動物で、変身能力があると発覚し、よりによって志村妙の姿をとったため、近藤が気絶したのが三日前。なぜ想い人を見て失神に至ったかは、顔から下の不完全な化け方のせいだ。
「出来損ないって言っても、望んでそうなったわけじゃあるめぇよ」
沖田の呟きに、山崎は下唇を引き結んだ。
「よく逃げて来たもんです」
その逞しさも、万事屋の侍を彷彿とさせる。怪我を負いながら、山崎の治療もあったとはいえ、ぴんぴんと生きている。
相変わらず、素っ気ないところもあるのだが。前足で顔をこする様を眺めながら、山崎が言う。
「そういえば副長、あれからおとなしいですね」
凄絶な駆けっこを繰り広げたのが嘘のようだ。
沖田は、我に返ったんじゃねぇの? とつまらなそうにこぼす。
「ま、俺はハナっから遊びだったけどねィ」
「何ですか?」
「いや」
茶髪の後ろに両腕を組むと、縁側へ倒れ込んだ。
「今ごろ巡回中だろ。本物と口喧嘩でもしに行ったのさ」
見ひらかれた視線が、瞼をおろした童顔に刺さる。しかし、沖田は気にもとめない。
消え入りそうな声が響く。
「なんだかんだで、認め合ってますからね」
同時に、白猫がゆっくりと尾を向けた。植込みへ歩き始める。
「仕事に戻ります」
立ち上がったのは、山崎だけだ。