小説

□貴女の雨があがるまで……
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「そこの綺麗なお姉さん何してはるんですか?」

「いいえ、何もしていませんよ」

「そうですか、せやけど今日は晴れてんのによう雨が降りますね?」

「そうですね……」

「狐の嫁入りやろか?せやったらめでたい事やわ」

「そうかもしれませんね」

「じゃあ何でお姉さんはめでたい日やのにそないな顔をしてはるんですか?」

「さぁ分かりません…」

「分からへん?それは難儀ですね?」

「………」

「でも本間は分かってるはずや」

「………」

「なんで惣は泣いてんの?」

「っ!」

「何が怖いん?何が不安なん?」

「君がっ…何処か…遠くへ逝ってしまう……夢を見たんだっ」

「ボクは何処にも行けへんよ?」

「ぼ…くが…どんなに追いかけてもっ……君には追い…つけなかったっ」

「うん」

「き…みっの名前を……どんなに…叫んでも振り向いて…くれっ…なくてっ」

「うん」

「それがっとても恐かったっ……」

「惣……」

スタ スタ スタ

ギュ

「ギン…?」

「今、惣を抱きしめてんのは誰の腕?」

「ギンの腕…」

「せやろ?惣が見たんは夢であって現実じゃない、ボクはどんな事が在っても惣を置いて逝ったりなんかせえへん」

「うん…」

「せやから………笑って?」

「うん……ギン…」

「どうしたん?」

「ありがとう」

「どういたしまして……」


















貴女の雨があがるまで



  ボクは貴女の傍にいる




    やっと太陽が見えてきた














終わり&あとがきと言う名の言い訳……
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