tennis

□授業中
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眠い。そして暇だ。
俺は「ふぁあ」と、この授業が始まってから何度目かの欠伸をした。
現在6時間目の真っ最中。ちなみに数学。
飯を食って少ししかたってないからか、それともこの授業がつまらないからか
(多分どっちもじゃろうが)
俺は途轍もない睡魔とだるさに襲われた。
別に今寝ることも可能ではある。
が、先生の説教は嫌なわけで、必死になって起きようと試みているのだ。

暇潰しに辺りを見渡すと、俺と同じような奴が数人いた。
もちろん、斜め前の目立つ赤髪の男も、だ。
今にも寝そうな目で黒板を見つめている。
机にはお情け程度に、閉じた教科書とノートとペンが乗っていた。

(この調子じゃ残りの10分持たんぜよ)

そう思った俺はノートの隅に「今日の帰り遊びにいこ」と走り書きをして
ちぎって丸めて、斜め前の赤髪を狙う。
テニスや特技であるダーツで鍛えたコントロールで見事に命中。
奴は一瞬ビクッとしてから手紙の存在に気づきそれを開く。
すると思った通り、さっきの眠そうな顔はどこへやら。
最高の笑みをこちらに向けてきた。
それにドキドキしてしまう俺は末期だろうか。

授業終了まであと8分。
俺は一つ背伸びをして黒板に並ぶ数式に挑むことにした。
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