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幸真前提蓮華SS「青」

空を見て、海を見て……思った。
スケッチブックの色は俺の心を反映している、と……。


青-BLUE-


昨日、俺は別れを切り出された。
幸村は俺の心と体を奪って、俺とはもう付き合えないと告げた。
突然の「サヨナラ」に涙が溢れる。

そして、気付いた。
俺はこんなにもあいつを、幸村を「愛していた」ということに。



真っ白なスケッチブックに青を塗った。
悲しいくらい深い碧色をした海を見つめながら……真っ白な紙を青く、青く染めていった。

「お前は何が描きたいんだ、弦一郎?」
「今は何も……」

ただ、悲しみを紛らわす為だけに塗り潰していただけだ。

「辛くて悲しくて堪らないんだろう?」

心の奥底に閉じ込めた本心を悟られ、ムッとする。俺は不機嫌な顔で声の主を睨みつけた。

「辛くもなければ悲しくもないっ!!」

心を見透かすような蓮二の目から逃れるように大声で怒鳴った。

「そうか。ならば、俺と付き合ってみないか?」
「は?」

唐突に話題を変えた蓮二に唖然とする。

一体全体……何がしたいのだ、蓮二は。

「…………お前は何が言いたいのだ?」
「好きなんだ、弦一郎が。初めて言葉を交わした時からずっと……」

お前が精市と付き合っていても諦めることが出来なかったんだ。

そう続ける蓮二に頬が熱く、鼓動が早くなり、ペースが乱される。

流されてはいけない、と頭の中で警鐘が鳴り響く。

「突然そのように好きだと言われても……んっ!?」

困るではないか、と繋ぐ筈の言葉は蓮二の接吻に奪われた。

「ん……っ……」

数十秒後、名残惜しそうに唇が離れたかと思うともう一度はっきりと、

「好きだ」

耳許に届いた、告白の言葉。

蓮二にならば本当の俺を包み隠さず見せられるかもしれない。

あぁ、俺は……。



いつかきっと蓮二を好きになるのだと、確信した。



End.2010.03.24.


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