「おはようございますバク様、朝ですよ」

眩しい陽射しと聞きなれた声。
僕の肩を揺する優しい手。
あたたかくて大きなこの手が大好きだ。
だからいつも少しばかり狸寝入りをしてしまう。

「バク様、バク様」

あぁ、心地良い。
安心しきってまた眠ってしまいそうだ。


起こすのを諦めたのかウォンはため息をつき茶を淹れはじめた。
このまどろんだ時間が僕は好きだ。
なににも囚われず、ウォンと同じ空間にいられる
1日の中で唯一ゆっくりとした時間だ。

「バク様」

ウォンがまた僕を呼んだ。
そろそろ起きてやるか、そう思っていたら急に布団を引き剥がされ
シーツを思いっきり引っ張られ僕はベッドから落ちる瞬間咄嗟に受け身をとった。
「ひ…人が寝てるのになんて起こし方だ」
「何度も普通に起こしましたぞ。それに、狸寝入りもほどほどになさってください」
「なっ…狸寝入りなど…」
「寝起きの人間が咄嗟に受け身取れますでしょうか?」
「…。悪かったよ」
僕が反省するとウォンはいつものように淹れたての茶を差し出してきた。
受け取り一口飲むとじんわり体があたたまる。
茶を飲んでいる間僕の肩に毛布をかけるなり髪をとかしてくれた。

空になった湯呑みを置くと背中にいるウォンのほうへと体重をかける。
「…バク様、それでは寝癖が直りませんぞ」
「…ん…」
安心したらまた眠気が襲ってきた。
ついに瞼が重く、閉じてしまった。

再びすやすやと眠る彼を横にする。

「…全く、困ったお方です」


ウォンは優しげな目で見つめ彼の髪を撫でた。






Call my name







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寝起きが悪いバクが書きたかっただけ。
でもきっと彼が安心して眠れるのもウォンさんがいてこそだと思うので。
短過ぎてすみません
180225






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