長き旅
□光と夜と
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「早くこの山を抜けねーとな」
一人の男が誰に言う訳でもなく夕闇迫る山中の街道を呟きながら歩いていた。
年は20台後半だろう男は、身なりはお世辞にも立派とは言えないが、顔は愛嬌があり優しそうな人物だった。
「な、なんだ?!」
男が先を急ごうとした矢先、道からそれた山の奥で光が洪水の様に溢れ出ていた。
「あの光…物の怪か?」
男は腰に下げていた刀に手を添えながら、光に導かれるように奥へと足を進めて行った。
男が光の根源にいくと、それを待っていたかのように光が消えた。