長き旅

□涙と雨と
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「楽しみね♪」
満面の笑みで隣にいる黒髪の美しい少女に話し掛ける茶髪の少女。二人は高校の卒業を記念し京都にバスツアーへと来ていた。
「今からそんなにはしゃいでたら…明日は歩き回れないわよ?京子は行きたい所があるんでしょ?」
バスの窓から外を眺めていた黒髪の少女は、京子と呼ばれる茶髪をした少女に苦笑気味に答える。
「だって(泣)紫蘭<シラン>ずっと行きたいと思ってた京都だよ?」
クリッとした大きな瞳を輝かせ、紫蘭と呼ばれる黒髪の少女を見つめる。
「京子は本当に京都が好きなんだね」
「京都もすきだけど…何と言っても新♪撰♪組でしょ。時代が激変するなかで最後まで己の誠を貫く!格好よすぎ」
紫蘭の両手を握り力説を始める京子。
「そうでした…京子は幕末マニアだったね」
力説され少し驚いた紫蘭だったが、思い出した京子の趣味に納得していた。
「あ、喉渇いた」
京子はホルダーに置いてあるジュースに手を伸ばした。しかし…その手が届くことはなかった。
「な、なに?」
紫蘭が異変を感じ、声を上げた次の瞬間、たたき付けるような凄まじい衝撃を受けた。
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