長き旅

□平穏と決意
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紫蘭が幕末に来てから約二ヶ月が経とうとしていた。

「紫蘭〜!今、帰ったぞ」
晋太郎は勢いよく引き戸を開けた。

「お帰りなさい。御飯はもう少し時間かかるから、先にお風呂にしてて?」
紫蘭は、土間て食事を用意しなが晋太郎に声をかけた。
「わかった」





「お待たせしました。御飯だよ。今日は魚が安かったから、煮付けてみたんだ。」
紫蘭は、晋太郎と自分の前に御膳を並べた。

「……」
晋太郎は感慨に耽っていた。
「お兄ちゃん?どうしたの?」
紫蘭は首を傾げた。

「ん…何にも出来なかった紫蘭が、こうやって一人で出来るようになったんだなと嬉しく思ったんだ。」
話しながら、晋太郎は御膳に手を付けた。

「お兄ちゃん…全部お兄ちゃんのお陰だよ?お兄ちゃんがいなかったら…私…死んでたか、島原に売られてた。ありがとう…お兄ちゃん」
紫蘭もこれまでを振り返り感慨に耽っていた。



「食事が終わったら…大事な話しが有るんだ…聞いてくれるか?」
晋太郎は今までに見せたことがない真剣な表情を見せた。
「も…勿論!」
紫蘭の胸に一抹の不安が過ぎった。
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