長き旅

□運命と微笑みと
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「お兄ちゃん!此処だよ!」
甘味所の暖簾を潜った晋太郎に紫蘭は手を振り呼んだ。
「元気そうだな?」
晋太郎は紫蘭の向かいの席に座ると、安心した様に声を掛けた。

晋太郎は二週間前に壬生浪士組に入隊をし、二人は近況報告の為に甘味所に来ていた。



「あれ?林君?」
晋太郎と紫蘭が話し込んでいると、晋太郎の後ろから声が聞こえた。
「沖田隊長!」
声に振り返るとそこには女性と見間違えるほど美しい青年が立っていた。
「林君も甘い物好きなんですか。此処の葛餅、絶品ですよねぇ?」
沖田は、晋太郎の後ろにいる紫蘭に全く気付いていないのか葛餅について話しを始めた。



「お、沖田隊長?」
晋太郎は、申し訳なさげに沖田に呼び掛けた。
「はい?どうしたんですか?」
沖田は首を可愛らしく傾げた。
「し、紹介します。」
晋太郎は自分の後ろにいる紫蘭を振り返った。
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